コロナの思い出

 小学校の高学年(たぶん4年生だったと思う)の時、クラスに転校生が来た。

 おとなしそうな感じだが、芯はしっかりしていて勉強も運動も出来そうな、可愛いというよりは美人タイプのKさん。

 そのあと割とすぐ、クラスの男女数人でそのKさんを誘って遊びに行き、みんなであれこれKさんに質問するなかで、当時クルマ大好き少年だった私の質問は、

  「お父さんはクルマは何乗ってるの?」

だった。するとKさんは、少し答えにくそうにしばらく間を置いてから、

  「コロナ」

と答えた。一緒にいた女の子があとで教えてくれたのだが、Kさんのお父さんは亡くなられていたそうで、それゆえ答えにくかったのだろう。

 知らなかったといはいえ申し訳なく、ほろ苦いコロナの思い出だ。

 かつてお父さんが乗っていたのか、知っている車の名前を適当に言ったのかはもう知る由もない、今から40ン年前の話。

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             (写真と文は関係ありません)

 新型コロナウイルスで苦しめられている今、コロナと聞く度なぜか思い出される記憶。